人間の心理

心理学から紐解く人の心理

「増加するグレーゾーン児童」

<悩みを抱える保護者>

ここ近年、診断名が付かず、発達障害の傾向持つ、いわゆる「グレーゾーン」児童が増加、保護者達も悩みを抱えているという。
発達障害の傾向がありながら、はっきりとした診断名がつかない「グレーゾーン」な子供の増加。

子供の教育方針に悩みを抱える保護者もおり、専門家は学校や地域が連携して支援する必要があると指摘している。

<あることがショックで自信を無くす>

福島県会津地方在住の女性(40)は、5年生の三男(10)が不登校で悩んでいる。

三男は小学校の通常学級に通っていたが、黒板の字をノートに書き写すことがうまく出来ず、授業中は落ち着きがなく、同級生とのコミュニケーションも苦手なところがあり、3年生の時、担任教師に「出来ないのはあなただけ」と注意されたことにショックを受け、自信を徐々になくしていった。

三男は4年生の夏「学校に行きたくない」と言い始め、それ以降は自宅で過ごす日々が続いている。

病院にも連れて行ったが、医師からは、発達障害の傾向があるグレーゾーンと言われ、診断名はつかなかったそうだ。

自宅ではタブレット端末を使用するなど、少しでも学習に取り組む環境を整えようとしたが、半年以上も学校生活を離れ、九九も忘れて、三男は今年、別の学校に転校し、障害の状況に応じて柔軟に対応できる特別支援学級に入ったが、不登校の状態は今も続いているという。

<年々増える相談者>

福島県立医科大では、開業医の紹介状を通じて、発達障害の疑いがある子供を診断している。

保護者からは「幼稚園や学校での集団生活でコミュニケーションを取ることが難しい」「落ち着きがない」「学習についていけない」などの相談が寄せられ、不登校や引きこもりのケースもある。

相談は年々増えており、同大の子どものこころ専門医、鈴木雄一医師は、発達障害の認知が進んだことに加え、コロナ禍によって家で過ごす時間が増え、見過ごされてきた障害に気付きやすくなったことが背景にあると説明している。

<グレーゾーンに定義無し>

グレーゾーンについては明確な定義はなく、同大では以下のケースを診断保留とし、経過を見ている。

1.発達障害の特性が生まれつきとは認められない。

2.特定の場所でしか特性が表れないなど基準を満たさないケース。

鈴木医師は、グレーゾーンの子供も社会生活で支援が必要な子として捉えるべきだとして、学校や地域が協力して支援する必要性を強調。

保護者が気軽に相談できる場所を増やすことも、子育てしやすい社会につながるとコメントしている。

<まとめ>

福島県内には、発達に問題を抱える子供の教育支援に力を入れている自治体もある。

郡山市では、特別支援学校教諭の免許を持つ特別支援教育アドバイザーが全小中学校を巡回し、発達に問題がある子供の支援について学校側にアドバイス

伊達市では昨年から、発達障害に詳しい大学教授を講師とした教職員向けの研修会を開き、障害を持つ子供の教育方法などを教え、同市教育委員会の担当者は、専門家からの意見などを踏まえて、子供一人ひとりが適切な学びを受けられる環境を整えたいとしている。

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