<逆境でも潰れない>
強いストレスがかかっても折れない人は何が違うのか…精神科医がこれほど重要なものはないという能力?とは。
逆境でも潰れない人は何が違うのか。
幼いころ、甘えることが出来なかった人の中には、自立しなくては、という思いに囚われている人も多い。実は、自立とは誰にも頼らないことではなく、人に上手く依存することなのだと、ある精神科医は言う。
しかも上手に人に助けてもらう能力は人が育つ過程で最も身に付けなくてはいけない能力のひとつだとしている。
<愛着形成>
実は、親に十分に甘えられたという人はほぼいない。
愛着形成がしっかり出来ている人は精神的に強靭。
人生の困難やストレスに直面しても凹まず逞しく生きていくことが出来るというのだ。
例えば、幼少期に親や養育者にたっぷり甘え、十分に甘え尽くした子どもには強固な愛着が形成され、それがしっかり形成されると、子どもは自然に親から離れ、何も言われなくても自分の人生を歩み始める。
ただ、人は大きくなるとやがて素直に甘えれなくなり、甘え足りないのにもう大きいんだからと言われて愛着サイクルを断ち切られてしまった子は、愛着形成が不十分なまま大人になったといえる。
つまり、実際には思う存分甘えきり、揺るぎない愛着形成が出来ている人など世の中にはほぼ皆無。
多くは、中途半端な愛着形成のまま大人になっているのが実情だという。
ゆえに、ある程度の自己肯定感と他者信頼感はあるものの、強いストレスや逆境に出合うと簡単に潰れてしまうのではないかと結論付けている。
<自分自身に問題があるのではない>
治療やケアが必要な人は、家に例えると藁ぶきの家レベル、一方で逆境にも負けない人は、強いレンガ造りの家に住んでいる。
安心感や自己肯定感が乏しいと感じる人は、自分自身に問題があるのではなく家の構造が弱いと考えて、原因は家の構造にあるなら補強工事で強化する、つまり専門家の知見を活用することが有効。
しっかりした家を自分に置き換え、レンガ造りの家を目指して補強耐震工事をするということなのだ
<自分の構造の弱点に気づこう>
愛着障害は正式には小児の障害なので大人には用いないようだ。
精神科医の話では、大人のクライアントの多くの方に愛着の問題が見られ、愛着の問題とは気づかず、他の病気の症状や、自分の性格だと考えているそうだ。
特に顕著なのは精神疾患が再発しやすかったり精神状態が安定しなかったりする患者さんだという。
愛着に問題があると自分を労わることが出来ず、多くの人が自分を傷つけ、まるで自分をむち打つような生き方をしているという。
Drがそれを指摘すると確かにそうだと頷く人が多い。
これは、自分の家の構造の弱点に気づくことが非常に大事であって、弱点がわかれば、そこから補強工事を始めれば良いからだ。
自分ひとりで悩まずに医師やカウンセラーに相談し、第三者の視点をとり入れると良い。
<幼少期が早く自立をすることになった人は>
助けを求められない心理を抱えてしまっている原因のひとつと考えられるのが、幼少期からの体験で、小さい頃に誰かに助けを求めた時に自分でやれと断られたり、うるさい、と怒られたりしたことがあると自立心に囚われ、人に頼れなくなる。
「自分ひとりでやらなくては」「自分の問題は自分で解決すべき」と思い込んでいる人もいたり、自責思考が影響している人もいるという。
心の奥底ではSOSを発し、それなのに助けを求めることが出来ず、限界まで自分を追い詰めてしまう人がとても多いという。
<自立とは上手に依存すること>
少し、概念を捨ててみてほしい。
「人に頼る」「助けを求める」のは未熟であり、自立した人ではないと考えるのを辞めてみよう。
赤ちゃんや幼児は、親にしっかりと甘え、依存するなかで心が成長していくので、依存は自立へ不可欠だ。誰も頼らず依存しない幼児は健全に成長は難しい。
乳幼児期にしっかり依存することが、後の自立へと繋がる。
自立とは本当は「依存先を増やすこと」例えば車いすで生活をしている人は、多くの人や物に助けてもらう必要があり、頼る先が特定の人に集中するのは避けるべきですが、多くの人に少しずつ上手に依存して、自分なりの生活をしている姿は、自立しているといって良いのだ。
<愛着形成のコツ>
自分の人生を俯瞰し、良く頑張ったとねぎらう。
最初のステップは、自分の心と向き合い精神構造に気づくこと。
自分の心を直視するのは楽ではないけれど、心の治療には自分の精神構造に気づくことが必要。
自ら精神のよりどころや弱点を理解して、初めて心を補強出来る。
何度もつらい気持ちに耐えながら、ここまでやってきた人は、これまでの人生をふり返り、頑張った自分に労をねぎらい、懸命に生きてきた自分をイメージし、褒めてあげよう。
次のステップは、長期的な視点で自分の成長のタイムラインを作ってみる。
例えば、自分に起きた出来事を見つめて、写真、手紙などを見返し、思い出の品などの視覚的な要素から記憶を蘇り易くする。
他には、人生年表を作る、マインドマップを作る、自分を中心に、仕事や家族、趣味など、枝分かれさせ連想していく。
それぞれの分野での経験や成長を書き出すことで、自分の人生の全体像を把握する。
自分の伝記を構想するつもりで、人生の章立てを考えてみるのも良い。
各章にタイトルをつけ、その時期の出来事や自分の感情、価値観の変化などを要約する。
<自己否定はいつ何処でどこで身についたのか>
愛着に問題を抱えている人は、他人に優しく自分に厳しいので、人に優しくする反動で自分を傷つけているかの様な所もある。
勿論、生まれながらの気質でもあることも。
幼少期に親や周囲の人から人に奉仕しないと自分は存在する価値がないなどと言われていたら、褒められることに罪悪感を覚えるし、親に褒められると、反動で否定する言葉が浮かぶ、という人もいる。
植えつけられた思考が習慣化し、素直に自分を大切に出来ないのだ。
この場合、他人にも自分にも優しくしてみると良い。
いつも他人を優先せず、自分にも他人にも、優しさを均等に振り分けてみる。
<自分自身を労わる>
愛着の問題を抱えてしまうと心の中で自分のことはどうでも良いと思いセルフケアを後回しにしがち。
セルフケア怠ると、いずれ疲弊し、心と体の健康を保つことが出来なくなる。
他人には優しく出来ても、自分に向けることに躊躇いがあるなら、他人を許し、他人に優しくしたことを、そのまま自分にも同じ量だけすれば良い。
意識的に自分をケアする時間を徐々に作るべし。
自分の気持ちに正直になり、ネガティブな感情を無視せず、そこにその感情が存在することを認め、心の中で「今日はちょっと疲れているな」「少しイライラしているな」と感じたら、その感情を言葉にしてみる。ベッドでゴロゴロする、好きな本を読む、どこかに行く、美味しいものを食べる、静かに音楽を聴くなど、労わる時間を作り、自分が今本当に望むことを少しだけ、人の目を気にせず、人の期待を気にせず、ひとりで実行してみる。
自分を責めてしまいがちな人は、内なる声が自分の希望を非難することがある、自分を励ます言葉を意識的にかけることが大切で、頑張ったから少し休もうなどの言葉を自分に向けて言ってみる。
<まとめ>
自立とは上手に依存すること。
人が育つ過程でもっとも身につけなくてはいけない能力のひとつ。
上手に人に助けてもらう能力=ヘルプシーキング能力という。
強いストレスがかかっても折れない人はこの能力に違いがある。
精神科医がこれほど重要なものはないと説いている。
