<しない選択のガイドライン>
高齢腎不全患者のための保存的腎臓療法のガイドについて、高齢の腎不全患者が透析治療をやめたり見合わせたりすることを決める際に必要な手順や、その後のケアのあり方などを示したガイドを、日本医療研究開発機構(AMED)研究班が作ったらしい。つまりこれで末期腎不全になれば透析が前提だった従来の治療が変わっていく可能性があるという。
<透析治療の過酷さ>
調べによれば、国内で透析治療を受けている患者は2020年時点で34万人超え、通常は週に2~3回通院して腕に針を刺し、4~5時間かけて血液を濾過し、老廃物を取り除く。
高齢化によって患者の平均年齢は10年の66・2歳から20年は69・4歳と年々上がっており、透析治療を始める年齢も高齢化し、80歳以上が29%を占めている。
高齢者は、複数の病気を持つ人が多く、心臓病や認知症などが透析開始の妨げになっている。
透析治療は一度始めると生涯続き、止めれば普通は約2週間で亡くなる。
患者にとって通院そのものや、心不全や貧血などの合併症も負担になりやすい。
透析を見合わせの場合は数カ月以上の予後があるとされるが、生命に関わる決定のため、終了や見合わせを決めるプロセスが重要とされている。
<意思確認の不十分さが招いた医療事故>
2019年に透析医療をめぐって、公立福生病院(東京都福生市)で、女性が透析中止後に死亡し遺族が病院側を提訴する事故があり、中止を決めるまでの意思確認の不十分さが問題になったとされている。
日本透析医学会は20年、終末期でない時の見合わせも含めた手順を示す提言をまとめたが、透析しない場合の標準的な医療・ケアは定まっていなかった。
<AMEDとは>
AMEDは日本の医療研究の司令塔役として2015年に発足した国立研究開発法人で、研究班は日本腎臓学会理事長を代表者に、関連学会のメンバーらで構成されている。
今回のガイドは、腎不全の患者が透析を選ばない場合に、尿毒素がたまっておきる症状の説明などに加え、心理的苦痛をやわらげるための治療やケア「保存的腎臓療法(CKM)」の重要性を示したという。
CKMは、透析をせずに症状を軽くし、精神的な支援を重視するもの。
欧米では広がりつつあるが、国内では患者側の望みにそって提供する施設はほぼないらしい。
<まとめ>
日本透析医学会の年次統計調査によれば、日本の透析患者数は年々増加を続け、2020年末時点で34万7671人で、透析が必要になる原因の疾患としては、糖尿病性腎症39.5%、慢性糸球体腎炎25.3%、腎硬化症12.1%が上位を占めている。
CKDは、心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患と死亡のリスクを上昇させることが多くの臨床研究で示されている。
自分がどう生きたいか、不慮の事故や、急な状態悪化の時に延命を望むか等しっかり起こり得る状態を説明した上で全国民に意思を示すような文書を作ると良いのではないか。
若い人は延命を望む人が多く、80.90代又は70代でも積極的延命を望まない人もいるかも知れない、生き方は、自分で選びたいと私は思う。