人間の心理

心理学から紐解く人の心理

「スパイト行動の心理」

<スパイト行動>
スパイト行動という言葉を耳にした事はあるだろうか。
スパイト行動とは→意地悪分配行動と呼ぶ。
わかりやすく言えば、「私が損をしているのだから、あなたも損をすべきだ」という心理から生まれる行動だ。
「自分が損をしてでも、相手より上に立ちたい」「自分が損をしているのだから、お前も損をすべきだ」という心理から引き起こされる行動だという。
コロナ禍を経たここ2年で、このワードへの注目が集まっている面もあるらしい。
仕事や日常生活、あらゆるシーンで顔を出すとされる、スパイト行動とは、どんなものなのか。
<スパイト行動の心理>
スパイト行動も背景にある、マスク着用率の高さ。
日本人のマスク着用率の高さは、意地悪な性格の裏返しだと昨今言われているが、そのスパイト行動の心理は、例えば、私とAさんは、とある店に同じタイミングでアルバイトとして配属された。
私の時給は下がり、損をすることになる、しかし、Aさんを出し抜きたいという気持ちが勝り、差がつくことで満足してしまう。
端的に言うとこれが「スパイト行動」となる。
更に例えると、コロナ禍において法律上マスク着用の義務がないのに日本ではマスクの着用率が他国よりも高いと言われている。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除された後も、街ではほとんどの人がマスクを着用しており、日本人の衛生観念や協調性の高さだと見ることもできるが、社会心理学者の碓井真史氏は、これもスパイト行動の一つの側面であると指摘している。
つまり、俺がマスクをして苦しい思いをしているのに、なんであいつはマスクをしていないんだと批判されることを恐れて、結果的に全体のマスク着用率は高い。
社会心理学的に見て、スパイト行動というのは、とにかく平等を求める気持ちで、ゲーム理論では、共貧状態という状況が起こってくるそうだ。
<スパイト行動は悪い面ばかりではない>
例えば、誰かが一個しかないリンゴをかじったら、基本的には他の人はそれを食べることはできない。誰かが一枚しかないシャツを着れば、他の人は着られない。
逆に誰もが平等に使えるような財のことを、経済学では公共財とよぶらしい。
<スパイト行動と付き合うには>
自分はスパイト行動なんて、愚かな人がやる意地悪はしない、そんなふうに思う人もいるだろう。
だが、その考え方こそがスパイト行動を引き起こす。
世の中には意地悪をする人がいるんだと他人事のように思うことがすでに自分も罠にはまっており、意図しなくても、同じようにスパイト行動をとってしまうのだ。
まずは、どんな人間もスパイト行動をする可能性があることを認識し、自分が損をしても、相手を出し抜きたいという気持ちがふっと湧いてきたら払拭出来るかどうか。
と思えるかどうかだという。
<まとめ>
自分の行動がスパイト行動に当たるのかと省みる人が増えたとしたら、果たして日本はどう変わるのだろうか。
人は得をすることよりも損失を回避することを重視する傾向のことを「損失回避の法則」と言うが、損失の基準には個別性がある。
私が損をしているのだから、あなたも損をすべきだという心理は裏を返せば、自分の損失を回避するために他人を損失させることで損失を帳消しにするという意味もある。
ただ、ずるいが許せないのは日本人特有とさえ感じる。