人間の心理

心理学から紐解く人の心理

「現代の心の悩み」

<心の問題の悩み>
「こころ」の働きに関係する病気は、うつ病や依存症、摂食障害解離性障害などがあり、種類も症状も様々だ。
だが現代のその悩みは、時代の傾向があり、心の問題に悩み、心理療法を受けに来る人たちは、まるで流行があるかのように訴えるらしい。
心理療法の専門家家の話では、長年多くのクライエントに会ってきた中で、時代とともに変わるこころを見守ってきたといい、クライアントの中で、特に流行が分かりやすいのは学生相談だそうだ。
<30年ほど前は>
自傷行為や過食で悩む人が多く、その前には境界例と呼ばれる対人関係に問題を抱える人も多かった。
最近では、それらのほとんどが無くなり、代わりに発達障害が増えたという。
発達障害は、脳機能の発達に関係する障害だとされ、症状は多様で、自閉症スペクトラム障害、つまり自閉症アスペルガー症候群や、注意欠陥、多動性障害(ADHD)、学習障害などが該当。
発達障害の症状>
この症状の強さは人それぞれで、自閉症スペクトラム障害に近いものは、集中力が高いがこだわりが強くて空気が読めず、コミュニケーションが難しいという特徴を持ち、ADHDには、衝動的に活動し、物忘れが多く締め切りや約束を守れないという特徴がある。
両者の症状は全く異なるが、どちらも脳の発達の違いが原因だと考えられつつ、両者は全く異なる症状で、スペクトラムとしての発達障害というカテゴリに入れられている。
発達障害は症状の強さも人それぞれ。
日常生活に強く支障が出る人や、社会の中で適応し、自分の特徴を活かしている人もおり、その場合、障害と呼ぶ必要はない。
つまり、自閉症の特徴を持っていても、一人でする集中作業技術職なら高い能力を発揮でき、ADHDの特徴があっても、時間に縛られないクリエイティブな職業で他人には出来ない仕事であれば、支障はないのかもしれない。
<時代の変化により悩む人も増えた>
発達障害に悩む人が増えたのは、時代が変化したからなのか。
対人関係のトラブルや自尊心の喪失やつらい思い、就学や就労が困難、うつ病を発症することもある。だから、周囲の理解が必要なのが必定。
そして当人が生き易くなる為の心理的な支援も重要となる。
発達障害が増えたのは、病名が多くの人に認知され、相談に来る人が増えたことが理由だという。
専門家によれば、発達障害のその多くは主体性が弱いという特徴があり、発達障害発達障害的な特徴に悩む人が増えてきたのは、時代が変化したからだそうだ。
昔は終身雇用が当たり前で外から決められた型がしっかりあり、主体性が欠けていても問題にならずコミュニティがしっかりした中で役割が与えられていたからだという。
現代は自然発生的なコミュニティが減り、自分で判断する場面が多くなった結果、個人の自由度が増してきた。
現代だからこそ、主体性の問題があぶり出されているのではと述べている。
<強固な主体性の必要性>
自由はある種の人々にとって大きな重荷となる。
自然発生的なコミュニティとは、自治会程度の輪、ゆるい繋がりの事を示し、逆に家族や仕事仲間は緊密で必然的な関係とされ、対照的だ。
人は繋がりがあって生きて行ける、ゆるい繋がりが消滅すると、必然的な繋がりにしがみついてしまい、そうなると更に緊密さを増していく。
この現象を専門家はカルト化と表現している。
心理療法で驚くほど改善するケース>
発達障害は、先天的な脳の特性が原因で心理療法は有効ではないと長らく考えられてきたが、そうではない可能性があるという。
箱庭療法」での変化を見ていく。
プレイセラピーには「箱庭療法」も含まれる。
実際に使っている箱庭では、例えば内側を青く塗った浅い木箱に砂が入っている。
部屋の棚には箱庭療法で使うミニチュアの玩具がずらりと並び、テーブルや椅子、車や標識、山や木、動物や人形など、圧倒されるほど大量のさまざまな玩具がある。
クライエントは、セラピストに見守られながら、箱の中に好きな玩具を選んで配置。
砂を掘れば、青い板が覗くので、それを泉や海や川に見立てる事も可能で、つい童心に帰って楽しめたりする。
できあがった箱庭は一度だけの表現でも意味があるが、実際のセラピーでは何度も連続的に作っていくことで、変化を見ていく。
この時、セラピストが見守っていることも重要。すセラピストが何か働きかけたりする事はほぼ無い。
だが誰かと世界をシェアしている事がクライエントの心に大切なのだという。
セラピストの役割は、ただ見守るだけの存在ではなく見守ってい中でクライエントの内面から、これまでなかった何かが立ち現れ、発達障害の子どもの場合だと主体性の萌芽など、その時立ち上がってきた新たな心の動きをキャッチする事。
<まとめ>
本人が自覚していない心の動きが、何らかの拍子に突然立ち現れる事をエマージェントと言い、心の問題の改善に向かうキッカケとなる事が多い。
立ち上がったのに、再び元に戻ることもあるが、それでも気長にセラピーを続けていく事が大切。
続けるうちに、クライエントは自分で立ち直る力を手にしていく。
一人で悩んでいるとエマージェントな動きを発見できない可能性が高く、心の動きはシェアされる事が重要、セラピストは安全で守られたスペースをクライエントに提供しなければならない。
セラピーを必要としている人たちは皆、苦しみ悩んみ、心理療法によって心へアプローチは、普通ではない状態を調査するという事、普通ではない追い込まれた状態だからこそ、心の様々な側面が見えてくるのだ。