<統合失調症>
統合失調症は、脳の様々な働き、例えば、知覚、思考、感情、意欲、行動などが上手くまとまらなくなってしまう脳の病気として統合失調症というのがある。100人に1人は発症すると言われており、ありふれた代表的な精神疾患だとされる。
今では、適切に治療していくことで回復できる病気だと言われている。
<症状>
次のような症状がみられるが、全て現れるとは限らない。
1.幻聴(幻覚のひとつ)
その場に居ないはずの人の声で悪口や命令が聴こえてくるといったような、「幻聴」という症状が多く見られ、周りから見ると独り言が増えたり、場にそぐわない笑顔が見られたりと、異変に気が付くことがある。
独りで誰かと会話している様な状態。
2.妄想
現実離れしていたり、事実と異なることを現実、事実として確信してしまい、どんなに周りから説明などされても訂正が出来なくなってしまう思考の症状。
嫌がらせを受けているとか監視されているなどといった「被害妄想」が多く見られる。
3.思考障害
流れのある話をするのが難しくなってしまったり、話が飛び飛びになってしまったり、会話が突然途切れてしまったりして、相手に上手く物事を伝えにくくなってしまう症状。
聞き手側も何を話したいのか、内容が掴みにくくなってしまう。
4.行動の障害
混乱して興奮してしまったり、一見無目的と思われるような突発的な行動がみられたり、まるでマネキンのように動作が固まってしまったりする。
つまり、カラダが操られているといった異常な感覚に襲われることがある。
5.認知機能障害
集中力や記憶力、遂行力(物事を計画して実行する力)、コミュニケーション能力などが障害されてしまい、例えば集中して読書が出来なかったり、いっぺんに言われたことを忘れてしまって、仕事をこなすのが難しかったり、人の顔色が読み取りにくくなったりなど、日常生活で今まで出来ていたことに困難が生じてしまう。
6.陰性症状
やる気の低下、物事や身の回りへの関心の低下、喜怒哀楽の弱まりといった、その人がいきいきと生活していくのに必要なパワーが出てこなくなってしまう症状をまとめて陰性症状と呼ぶ。
ちなみにこれとは逆に、幻聴や妄想など必要ないものが異常に出てきてしまう症状を陽性症状と呼ぶ。
<原因と診断>
原因は現在もはっきりとは解明されていない。
遺伝的要素(体質)、生活環境、ストレスなどの様々な要因が複雑に絡み合って発症すると推測されており、多くは思春期から青年期に発症するようだ。
多彩な症状は、脳内のドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質のバランスの乱れによって起こると考えられている。
診断される場合、一般的に血液検査や画像検査など身体検査で分かるものではなく、精神科医の診察で、先に述べた症状やこれまでの経過などから総合的に診断される。
身体の病気や薬物の影響でも、幻聴、妄想などの症状がみられることがあり、身体検査や内服の確認などが必要で、診断の手助けとなる。
心理検査は診断補助で用いられることがある。
<治療するには>
統合失調症の薬の治療が中心となる。
抗精神病薬を中心に、必要に応じて睡眠薬などのお薬を補助的に用いる。
統合失調症は慢性疾患のため、再発してしまうことがあり、症状が良くなった後も、元気な状態を維持していくために、治療をじっくりと気長に続けていくことが大切。
外来治療が基本だが、症状が重い場合には入院治療が必要になることもあり、作業療法やデイケアなどを利用し、生活リズムの改善やコミュニケーションのトレーニングをするなどのリハビリテーションも重要な治療の一つとなっている。
<まとめ>
心理学サイドからの発信としては、2015年に公認心理師法が公布され、公認心理師が誕生し、多職種連携という言葉が目を引くようになり、精神医学領域でも多職種連携がいわれるようになったらしい。
複数の専門家が、それぞれの専門を活かして、支援に関わることが求められ、多職種の一つに公認心理師も含まれるものの、どのような役割が期待されているのかについてはあまり明確ではないという。
公認心理師として統合失調症患者に関わる実践報告が少ないことが理由の一つになっているそうだ。