ISA(自動速度制御装置)の話。
日本で装着が義務化されると、スピード違反が事実上なくなり「あおり運転」も一気に解消される可能性あり。
ヨーロッパではすぐ目の前に迫っている現実としておりヨーロッパ連合(EU)加盟27カ国と、その周辺国であるイギリス、スイス、ノルウェーで2022年7月からISAを乗用車、商用車、バス、トラックなど全ての新型車(新発売車)での装着を義務化。そして2024年7月からは全ての新規登録車への装着義務を拡大する。
<実質的なスピードリミッター>
ISAは、車内のディスプレイやモニターに自車位置の法定速度を表示してドライバーに速度超過を警告するもの。
対象となる道は、自動車専用道の高速道路だけではなく一般道も含まれ将来的には、実質的なスピードリミッターとしての活用を視野に入れる。
<交通死亡事故の30%は速度超過が原因>
ヨーロッパ委員会(EC)では、ヨーロッパでの交通死亡事故の30%は速度超過が原因だという見解を示す。
2018年のアメリカでの交通事故死亡者数の26%にあたる9378人が、速度超過が原因だと分析している。
この状況を改善する為、ヨーロッパではすでに安全支援の領域でISAの評価が行われている。
<ISA義務化が始まる理由>
ヨーロッパでのISA義務化のタイミングは、様々な量産技術が市場で整ってきた事に深く関係している。
又、EUでは、事故発生時に自車位置やエアバック作動の情報を各地の情報センターに送信する仕組み「eCall(イーコール)」の装着を2018年4月発売以降の新車に義務化している。
eCallの義務化により、GPS等の衛星測位システムを車両に完備することになり、自車位置測定の概算が可能に。
日本と比べて車載カーナビ装着率が低いヨーロッパで、デジタル地図情報との照合がし易くなっている。
日本でも新型車には軽自動車から高級車まで高度運転支援システムの標準装備化が進んでいる。
そもそも車載カーナビの搭載率が欧米に比べて高い。
更に、自動運転技術に対する国のプロジェクトとして、産学官連携による高度な三次元地図ダイナミックマップなどデジタル地図情報の整備が近年、一気に進んでいる。
つまり日本でのISA義務化のハードルは比較的低い。
<日本での義務化は…>
2020年代後半か?
直近では、国土交通省自動車局技術・環境政策局が2020年7月7日、第6期先進安全自動車(ASV)推進計画の中で、2019年12月に同省が公開したISAのガイドラインについて改めて触れているが、「今後のさらなる協議が必要」として具体的な実施計画は明記されていない。
日本におけるISA導入の可能性としては、今、自動運転レベル2の高度化が進み、一部でレベル3の実用化に踏み出すメーカーも出てきたが、各方面に取材していると「レベル3の普及は2030年代に入ってから」という意見が業界内の主流という印象がある。
レベル3では法定速度順守が基本となるから、ISAについても2030年代を見据えて、2020年代半ばまでには新型車への義務化が始まるとの予想が成り立つ。
<ISAの4つの特徴>
1.ドライバーに現在の制限速度を知らせる。
2.車両の速度が設定した速度しきい値を超えたら ドライバーに警告する。
3.ドライバーのアクティブな動作によって、車両が設定した速度を超えない様にする。
又はその速度を維持するようにする。
4.条件付きの制限速度や標識のない制限速度を正確に認識し解釈する。
<まとめ>
交通心理からするとスピード違反とあおり運転は、死亡率が高い。
これらが日本からなくなるのは、もう少し先になるのかもしれないが、その日が確実に近づいていることは間違いない。