人間の心理

心理学から紐解く人の心理

「研究チームの心理」

<冬眠から目覚めたワムシ>

2ヶ月前のニュースで、2万4000年間永久凍土で眠っていた生物が目覚める、とあった。

2万4000年の冬眠からある生き物がついに目覚め、それはワムシと言う生き物。

長い冬眠を終えたのは一匹のワムシ。

今、科学者たちの大きな注目を集めているのだとか。

<人体の冷蔵保存の鍵を握る>

ワムシが冬眠していたのはシベリアにある永久凍土で、ロシアの研究チームが蘇生させた。

淡水や湿った土壌を好んで住み着く彼らは極度の乾燥や氷点下の気温、飢餓、低酸素状態を生き抜くことができる生物で、人体を冷凍保存する鍵を握っているという。

アメリカの学術雑誌、カレントバイオロジーによると、冬眠から目覚めたワムシを研究すると、彼らはより過酷な環境も耐えぬけると分かったとのこと。

研究チームの一員である生物学者スタース・マリャービン氏は、多細胞生物が何万年ものクリプトビオシス(厳しい環境下で生物が活動を停止した無代謝状態)を生き延びることができると実証されたとプレスリリースで述べている。

ただし、復活劇は今回が初めてではなく、2018年にもロシアの研究者が線形動物の1種を3万2000 年前の永久凍土で発見し蘇生させたと主張している。

さらに、南極の土壌や氷河で見つかった標本を含めて、これまでに蘇生に成功したワムシの標本は6年から10年の年齢差があり、クマムシなどの緩歩動物は30年ほど。

これらを考えると、彼らが2万4000年以上の長い冬眠にも耐えられる可能性もあるのだそうだ。

<どんな研究が行われたのか>

研究を行ったのはロシアの土壌、低温生物学研究所で、ワムシの発見場所は、シベリア北東部のアラゼヤ川付近の 深さ11.5 フィート (3.5 メートル) 地点。

これまでに発見された標本の中では最も古いものだったとのこと。

冬眠場所だった後期更新世の層は放射性炭素年代が約 2万4000 年前と測定されており、 最終氷期が終わる1万2500年前のもの。

又、他の層からの汚染や漏出を防ぐために特別な抽出方法が使われた。

ワムシは発見後に研究室に持ち帰られ、蘇生、繁殖に成功(ワムシは1つの個体のみで子孫を作る単為生殖を行う)。

更に、遺伝子分析によりベルギーで発見された標本と近しいアディネタ種であることも明らかになっている。

研究チームはより詳細にワムシの生態を調査するため、ランダムに選んだ144個の標本を摂氏-15度で1週間凍らせ実験をした。

範囲こそ狭かったものの、昔と現在のアディネタ種の凍結耐性に大幅な違いはないことが明らかになった。

一連の研究を振り返り、マリャービン氏は、最も大きな発見は多細胞生物を何千年も冷凍保存できると分かったこと。

フィクションの世界が本当になるかもしれない

と述べている。

<人体の冷凍保存が実現に近づく>

形態が複雑になるほど保存は難しくなるため、哺乳類の冷凍保存が成功した例はないが、単細胞生物だけでなく、脳や腸を持つ多細胞生物が長期の冷凍保存可能と分かったことは大きな進歩。

そして、気になるのがアディネタ種のワムシが氷晶による細胞や臓器の破壊を免れていること。

論文では、「低音下で細胞や臓器を守るシールドとなる生化学的な機能が備わっているのではないか」と推測されている。

人体を冷凍保存する際にも臓器や細胞の保護は重要な課題となるので、解明が必要とのこと。

<まとめ>

人体の冷凍保存は映画の世界だけだと思っていたのが、そうでもないのかも思わせる。

こうなると、どんどん不可能を可能性へと追求するという心理が働く。

成功事例は無いので何とも言えないものの、今回のワムシの研究は希望を与えてくれたと思う。

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