<その後のAさん>
Aさんは今はダメージがだいぶと回復している。
19歳の時に現在の配偶者と出会い結婚したのが、きっかけになった。
そして後に精神的な損害を受ける不当な身体拘束を受けたとして、この病院に損害賠償を求める裁判を起こし、現在係争中。
<身体拘束とは>
身体拘束とは、最も強度な身体の自由に対する制約で、患者の行動の自由を完全に奪う。
精神科病院での身体拘束の場合、精神保健福祉法のもと以下の理由の元行われる。
① 自殺や自傷の危機が切迫
② 多動や不穏が顕著
③ 患者の生命に危険があり、ほかに方法がないと精神保健指定医が認めた時のみ行う事が出来る。
<主張のくい違い>
Aさんの主張は…
「治療の必要性を理解し、身体拘束を受けるまで入院中の食事を経口摂取できていた事」
「点滴抜去の防止の為に拘束以外の代替手段を検討した形跡が無い事」
「身体拘束はこれらの要件に欠いた違法なもの」
これに対して病院側は…
「拘束を中止したら自己抜去や自殺企図、自傷行為の恐れ、安静を守れず過活動や運動もあると判断した」
「身体拘束以外に代替方法はなく、継続が必要だった」「両親や友人との交流を避けることが症状改善に必要な為、治療の一環として当面は家族との面会連絡を行わない治療方針で了解を得ていた」
また「身体拘束を内省や医療従事者に心を開く手段として用いるようなことはしていない」と主張している。
原告側の複数の専門医たちは、Aさんの入院当時の体重は、各種医学文献や摂食障害におけるガイドラインに照らしても、生命に危険が及ぶ恐れはなかったという。
だが、担当医は裁判所での証人尋問で耳を疑うような発言をする。
「(身体拘束されている患者は)付きっきりのように、もうほかの患者と比べれば、数倍もの時間を医師も(費やしている)、ですから御本人さんが身体拘束が外れた時に物凄く寂しいと言って、特別な座から降りるんだと、まさにそのような、もう病棟患者さんから見れば、ものすごい羨望を集めるような特別待遇なんですよ」
彼女はこれを聞いて憤りを感じた。
<フラッシュバックは現在も続く>
Aさんは憤りを込めて訴える。
「精神科医にはぜひ、いつ解除されるか分からない身体拘束を、一度体験してほしい」
「1時間で終えたとしても当事者が訴える、先の見えない底なしの恐怖の一端は感じれるだろう」
彼女は急に手首を握られると、精神的に安定した今でさえ、あの身体拘束のフラッシュバックに苦しめられる時がある。
<厚生労働省の調べ>
今年2月、精神病床における身体拘束の実態に関する初めての調査結果を発表した。
そこでは患者に対する身体拘束のうち約3割で1週間以上の拘束指示があった事か明らかになった。驚く事に最大日数は15年半におよぶ5663日という数字となっている。
<まとめ>
クライアントと医療従事者の間では、どうも力関係の差が歴然としている。
このDrは一体どんな心理だったのだろうか…
精神科医が精神崩壊へ導く様な患者の尊厳を無視した治療をしたとしたら許せない、怒りを覚える。
取り巻く看護師達も同じだ、もし自分の娘だったらと考えてほしい、逆の立場だったらと、それでも医療従事者といえるのか。
一人の少女の人生を狂わした病院ぐるみのこの一件は氷山の一角に過ぎない。
この様な医療は絶対に許してはいけない。
日本の精神医療現場は、情報公開のチャンスが少ない、つまり密室性の高い環境下で身体拘束の様な人権侵害に抵触する強い行動制限が柔軟に行われているのではないだろうか。
身体拘束の延長にあるのは虐待という最悪のケースが浮上して来る。
真実はひとつしか無い、隠蔽体質が続く、その様な事は絶対あってはならない。